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日帰りバスツアーで長野県阿智村の日本一の星空を見に行こう!
記事作成日: 2018-08-31
きらめくような映像に魅せられるアニメ映画『君の名は』。特に、物語の鍵となる彗星や、その背景として描かれる星空には、見ていて吸い込まれるような美しさがあります。ヒロインの三葉が彗星を仰いだ「糸川町」は架空の町ですが、映画に迫る星空が見られる場所は現実に存在します。
それは長野県の「阿智(あち)村」です。阿智村は「日本一綺麗な星空が見られる」と評判の村で、自慢の星空を鑑賞する大きなイベントも毎年行われています。この阿智村と星空観賞イベントについて、詳しくご説明します。
目次
日本一の星空が見られる阿智村とは?
星がよく見えるのは、地上の光が少なく、空気の澄んでいる場所です。中央アルプスと南アルプスの間にある穏やかな阿智村は、都会よりもはるかに空気が綺麗で、夜もギラギラした灯りに悩まされることがありません。そのため、暗くなれば驚くほどの星が頭上に輝きます。
しかし、地上が比較的暗く、空気が汚れていない場所は、他にもたくさんあります。にも関わらず、阿智村の星空が「日本一」と言われるのは、環境省の「全国星空継続観察」という事業で、一般参加団体が撮影した星空の写真を比較した結果、阿智村の夜空の明るさ(暗さ)が最も星の観測に適している、という明確な評価が(2006年に)出たことがあるためです。(※このことは、環境省の公開している資料「[参考]一般参加団体による写真撮影結果において夜空の明るさが星の観測に適していた場所(平成18年度夏期)」で確認できます)
映画「君の名は」の中で、三葉の住む糸川町は岐阜県の飛騨高山にあるかのように描かれていましたが、阿智村があるのは隣の長野県です。しかし、高山市の南東の端にある御嶽山から見れば、山脈を挟んで60kmほどしか離れていないため、映画とかけ離れた印象を受けることはないでしょう。
ただし、「山奥の閉ざされた村」ということはなく、アクセスは意外なほど良好です。なぜなら、すぐ近くに中央自動車道があるためです。
東京方面からの場合、最寄り(村から見て東側)の飯田山本インターからは約3km(5~6分)という近さで、全体では3時間30分~4時間ほどのドライブとなります。インターから村への行き方も、出口(入口)の道路(国道153号線)を走り続け、最後に村の方へ曲がるだけと、実に簡単です。
反対側の名古屋からの場合は、阿智村の西側にある園原インターで降りることになります。こちらから行くと、インターからの距離が少々長くなりますが、それでも約9km(15分前後)。全体の所要時間は東京からよりずっと短く、1時間30~40分しかかかりません。
「ヘブンスそのはら」で行われている星空鑑賞イベント
阿智村の中でも、星空を見るのに適した場所とそうでない場所はあります。せっかく日本一星空の綺麗な村を訪れたなら、もう一歩踏み込んで、最高の条件で星空を楽しめる場所を選びましょう。
現在、村の中で最も人気があるスポットは、「ヘブンスそのはら」です。「星を見る」ということから、広場や天文台を想像してしまうかもしれませんが、ヘブンスそのはらの本来の姿はスキー場です。スキーをするような山の上は麓よりも空が近く、空気がさらに澄んでいるため、星がいっそう綺麗に見られます。しかも、個人的に適当な山に登る場合とは違い、ロープウェイで簡単に移動できますし、各種施設もそろっていて便利です。
このヘブンスそのはらでは、訪れる時期によって、
夏:4月から10月までの「天空の楽園日本一の星空ナイトツアー」
秋:10月から11月までの「星空&雲海天空の楽園雲海Harbor」
冬:12月から3月までの「天空の楽園 Winter Night Tour」
という3種類のイベントが楽しめます。
ヘブンスそのはらのイベントスケジュール
前半 | 後半 | |
1月 | Winter Night Tour | Winter Night Tour |
2月 | Winter Night Tour | Winter Night Tour |
3月 | Winter Night Tour | Winter Night Tour |
4月 | 日本一の星空ナイトツアー | |
5月 | 日本一の星空ナイトツアー | |
6月 | ||
7月 | 日本一の星空ナイトツアー | 日本一の星空ナイトツアー |
8月 | 日本一の星空ナイトツアー | 日本一の星空ナイトツアー |
9月 | 日本一の星空ナイトツアー | |
10月 | 日本一の星空ナイトツアー | 雲海Harbor |
11月 | 雲海Harbor | |
12月 | Winter Night Tour |
※空白・・・休止期間
夏「天空の楽園日本一の星空ナイトツアー」
夏期(2018年は4/14~10/21。ただし5/21~7/6と9/18~10/5は休止)に行われる「日本一の星空ナイトツアー」は、全長2.5kmのゴンドラで標高1,400m地点(スキー場のベース部分)へ向かい、そこから頭上の星々を眺めるというイベントです。ゴンドラは往復2,200円(小・中学生は1,000円)で、他に入場料などは無く、これが実質的なイベント料金となります。
上りゴンドラが運行している間(※通常は18:30~19:30)に会場へ行くと、さっそく見事な星空が出迎えてくれますが、本番はイベントの始まる20時です。この時間になると、会場の照明が一斉に消され、夜空がさらに美しく見えるようになります。
場内は、星座などについての解説を聞けるプラネタリウム感覚の「STAR GUIDE AREA」と、星空にマッチした音楽が流れている「ENTERTAINMENT AREA」に分かれていて、真剣に星を鑑賞することも、リラックスして眺めることもできるようになっています。
イベント終了は30分後の20時半で、下りゴンドラはこの時点からの運行となります。なお、8月など来場者の多い時期は、この後もう一度上りゴンドラが動き(※21:00~22:00)、22:15~22:45にもう一度同じイベントが行われる2部営業「PARADISE NIGHT」となります。2部営業が予定されている日は、公式サイトのカレンダーで確認できます。
この星空ナイトツアーはとても人気があるため、日帰りバスツアーも販売されています。一般的なイベントと違い、夜に行われるものですから、普通に車で来てしまうと帰りの運転が少々不安ですが、ツアーのバスなら集合(解散)場所まで一直線。美しすぎる星空に眠気を誘われても大丈夫です。
また、たとえ走行距離が短い名古屋からでも、高速代とガソリン代は片道4,000~5,000円になってしまいます。往復8,000~10,000円の交通費にイベントの費用、さらに夕食代なども考えると、1万円以下で参加できるバスツアーを選ぶのは賢い方法と言えるでしょう。
ちなみに、名古屋発のツアーの一例は、「普通の日帰りツアーよりも遅めの14時すぎに出発し、軽くショッピングを楽しんだ後、早めに夕食をすませ、ヘブンスそのはらで星空を満喫してから帰る」というもの。名古屋に戻るのは23時すぎになりますが、夜道の運転もプロドライバーなら安心です。
秋「星空&雲海天空の楽園雲海Harbor」
秋のイベントの期間は約1ヶ月間(2018年は10/22~11/23)と短いのですが、これは雲海が最も現れやすいタイミングを選んでいるためです(※2017年の同時期の雲海発生率は約65%でした)。
夏のイベントの舞台は標高1,400m地点でしたが、秋はそこから展望台リフトに乗り込み、1,600m地点の展望台まで行くことができます。10月には紅葉によって、11月には雪によって色を変えた山々と雲海の組み合わせは、まさに映画のワンシーンのよう。港(Harbor)から海を望むように、彼方へと雲の海が続きます。
この期間中、ゴンドラは上りが05:00~07:00・下りが(上りの始発到着後~)16:30まで、展望台リフトは05:45~16:00、ペアリフトは08:30~16:20という早朝~夕方の営業となりますが、暗い時間帯には星を見ることもでき、星空と雲海の両方が楽しめるお得なイベントになっています。
なお、料金はゴンドラ・展望台リフト・ペアリフトがすべて含まれるため夏より高く、3,500円(小・中学生は1,700円)となります。
冬「天空の楽園 Winter Night Tour」
スキー場「ヘブンスそのはら Snow World」が稼働する冬期(2017~2018年は12/09~03/31)は、会場を麓へと移し、「Winter Night Tour」というイベントが行われます。
「高い場所で星を見られる」というメリットは失われますが、雪の降り積もるような寒い時期に、村の中で足を止めて星を見続けるというのは、なかなかつらいものです。こちらの会場内には、温かな飲み物で一息つけるカフェが用意されていますし、冷え切った足にうれしい足湯もあります。
また、Vixen社の望遠鏡で、はるかな星の様子も細かく観察できるコーナーや、性能の良さで知られるプラネタリウム「MEGASTAR」を設置したドームもあり、科学の力でより深く星空と触れ合うことができます。MEGASTARの映し出す人工の星と、屋外の本物の星を見比べてみるのもおもしろいのではないでしょうか。
開催時間は19時から22時までの3時間と比較的長いため、各コーナーは余裕を持って見ていけます。料金は夏と同じで、2,200円(小・中学生は1,000円)です。
「日本一の星空ナイトツアー」の服装や持ち物は?
標高の高さから想像できるように、「日本一の星空ナイトツアー」の会場は夏でもかなり冷え込みます。当日の天気にも左右されますが、基本的には気温が高めの日(20度前後)よりは、寒さの厳しい日(15度前後)を想定して服装を決め、追加で着られるものも持っていった方が良いでしょう。
たとえば東京の場合、9月の夜(一番寒い時間帯)は平均約20度、10月の夜は平均約15度です。これを基準にして考えつつ、さらに山の風のことも考えて服を用意しましょう。
イベントで照明が消えている間は、(映画館のように)無闇に歩き回ることができないため、それまでよりも身体が冷えます。寒さの感じ方に個人差はありますが、毛布が1枚あると安心です。
その際、地面に座るか、寝転がるなら、レジャーシートも必要になります。レジャーシートがあまり小さすぎると、寝転んで星を見上げることができず、やや窮屈になるかもしれませんから、十分余裕のあるサイズのものがおすすめです。
また、枕や何か身体の下に入れられるクッションがあると、ある程度角度を付けられるため、楽になります。防寒着をすこし多めに持っていけば、余ったものを丸めて使うこともできます。
星空だけではもったいない!阿智村のチェックポイント
阿智村の最大の魅力は星空ですが、それだけを見て帰ってしまうのは、少々もったいないかもしれません。なぜなら、阿智村には「花桃」や「昼神温泉」といった名物・名所もあるからです。三葉になった(男性なら「なってしまった」?)気分で、のどかな村内観光も楽しんでみてはいかがでしょう。
日本一の花桃の里
花桃とは、一般的な桃よりも美しい花を咲かせる、観賞用の植物です。食用にできるような大きな実はつかないものの、鮮やかな色合いの花には、桜や梅の花とはまた違った良さがあります。
国内には「桃の花の名所」と呼ばれるような場所は少なく、花桃を育てている所となると、さらに限られますが、阿智村では約5千本もの花桃が集中している「月川(げっせん)温泉郷」をはじめ、村のあちこちで花桃が栽培されていて、その規模の大きさから「日本一の花桃の里」と言われています。
阿智村の花桃は桜が咲き終える4月中旬からの約1ヶ月が見頃となり、この期間は赤・白・ピンクの花が村を彩ります。阿智村で多く見られる「三色花桃」は、1本の木が3色すべての花を咲かせることもあるため、色の混ざり具合が(1本単位での色違いよりも)細かくなり、密集している場所では本当に素晴らしい光景が見られます。
4月中旬と言えば、星空ナイトツアーの開始時期とちょうど同じ頃。ゴールデンウィークすぎ辺りまでのタイミングを狙えば、昼は麓での花桃、夜は山の上での星空という阿智村の二つの宝を堪能できます。
昼神温泉
昼神温泉の始まりは1973年(昭和48年)。100年単位の歴史を持つ老舗の温泉地に比べれば、はるかに新しい温泉地ですが、その発展は目覚ましく、現在は「南信州最大の温泉郷」と言われるほどの規模になっています。
急激な発展にはマイナス面もあるものですが、阿智村の場合は店舗を厳しくチェックしているため、村の静かな風景への影響は最小限に抑えられています。この落ち着いた雰囲気も、昼神温泉の見どころの一つと言えるでしょう。
昼神温泉は「美人の湯」「美肌の湯」とも呼ばれています。宝石のような星の光を浴びながら温泉に入っていれば、確かに肌も美しくなりそうですが、もちろんこれには根拠があります。いかにも温泉らしい硫黄の香りを漂わせる昼神温泉のお湯は強いアルカリ性で、肌の余分な角質を取り除いてくれます。さらに、肌の乾燥を防ぐナトリウムイオンなども含まれているため、保湿も万全。「すべすべ」「しっとり」という二つの効果があるというわけです。
温泉郷の中心にある広場では、朝6時から(11~3月は6時半から)朝市が始まり、旬の野菜や果物、漬物やお菓子など、阿智村ならではのさまざまなものを買うことができます。昼神温泉に泊まったなら、こちらも要チェックです。
※本記事内の情報は、すべて2018年8月時点のものです。
イベントの内容や料金などは、変更される可能性があります。